【登辞林】(登記関連用語集)


[し]

人材派遣業 一般には、派遣元が雇用した人材を派遣先に派遣し、被派遣者は派遣先の指示・監督に従い、派遣元が給与を支払う事業のことを指すことが多いが、「人材派遣」という用語は、法令上の用語ではなく、労働者派遣法(昭和60年7月5日法律第88号)における「労働者派遣事業」の他、民法上の請負にあたるものを含む意味で用いられることもある。

審査請求 行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し、当該行政庁以外の行政庁に対してする不服申立て(行政不服審査法第1条第1項、第3条)。不動産登記・商業登記における登記官の処分を不当とする者は、当該登記官を監督する法務局又は地方法務局の長に審査請求をすることができるが、審査請求は、登記官を経由してしなければならない(不動産登記法第156条、商業登記法第142条、第143条)。また、登記官の処分に対する審査請求は、審査請求期間が設けられておらず、請求の利益がある限りいつでも行うことができる(不動産登記法第158条、商業登記法第147条、行政不服審査法第14条)。
司法書士は、業として、他人の依頼を受け、法務局又は地方法務局の長に対する登記又は供託に関する審査請求の手続について代理することができる(司法書士法第3条第1項3号)。
(→国家賠償法

シンジケート・ローン(syndicated loan) 協調融資。複数の金融機関が共同して、同一の借入人に対して、同一条件で、一つの契約書により行う融資。アレンジャー(主幹事)が、融資条件の検討、シンジケート団(協調融資団)の組成、借入人とシンジケート団との調整、契約書作成等、契約締結までの一切を取り仕切る。契約締結後は、契約書に定められたエージェントが各貸付金融機関の代理人となり、資金決済や契約の管理などの事務を行う。日本では、通常、同一の金融機関がアレンジャーとエージェントを務める。
シンジケート・ローンの形態は、大きく分けて、ターム・ローン(証書貸付)、コミットメント・ライン(一定期間の融資確約枠の設定)の2形態がある。
借入人のメリットとしては、多額の資金調達が可能となること、財務の合理化、複数の金融機関との取引による信用力の向上等が挙げられ、貸付金融機関にとってのメリットとしては、貸出リスクの分散、資産運用の多様化等が挙げられる。

信書 特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書(郵便法第4条第2項、民間事業者による信書の送達に関する法律第2条第1項)。見積書、請求書、願書、申込書、承諾書、申請書、申告書、契約書、招待状、免許証、印鑑証明書、住民票の写し、特定の受取人が記載されているダイレクトメール等(総務省ホームページ)。

(株)新生銀行 東京都千代田区内幸町二丁目1番8号。昭和27年12月1日設立。平成12年6月5日、(株)日本長期信用銀行から商号変更。

新生信託銀行(株) 平成8年11月27日設立。平成12年6月5日、長銀信託銀行(株)から商号変更。平成14年2月9日、東京都港区虎ノ門三丁目12番1号から、東京都千代田区内幸町二丁目1番8号に本店移転。平成22年12月13日、東京都中央区日本橋室町二丁目4番3号に本店移転。

真正な登記名義の回復 登記簿上の所有者が真実の所有者でない場合、本来、当該登記を抹消し、改めて真実の所有者名義とする所有権の登記をすべきであるが、当該物件に設定されている抵当権者の承諾が得られない等の事情があるときに、登記簿上の所有者から真実の所有者へ所有権移転登記をすることが認められており、当該登記の原因として記載すべきもの。
昭和25年に所有権を取得した自然人から、昭和29年に設立した法人へ、「真正な登記名義の回復」を原因として、所有権移転登記をすることができる(登記研究588号207頁)。
甲名義に所有権保存登記がなされている建物につき、甲から真実の所有者である乙へ「真正な登記名義の回復」を原因として、所有権移転登記をすることができる(昭和39年4月9日民事甲第1505号民事局長回答)。
甲から乙への所有権移転登記がされている農地について、乙から丙へ「真正な登記名義の回復」を原因として所有権移転登記を申請するには、甲丙間の権利の移転についての農地法の許可を証する書面の添付を要する(昭和40年12月9日民事甲第3435号民事局通達)。
官公署の払い下げにより所有権移転登記がされた宅地について「真正な登記名義の回復」を原因として所有権移転登記をすることができる(登記研究546号151頁)。
住宅・都市整備公団から売買を原因として所有権移転登記を受けた者から第三者へ「真正な登記名義の回復」を原因として所有権移転登記をすることができる(登記研究556号139頁)。
「競売による売却」を原因として甲名義に所有権移転登記がされている不動産につき、甲から乙へ「真正な登記名義の回復」を原因として所有権移転登記を申請することはできない(登記研究463号84頁)。
「真正な登記名義の回復」を原因として抵当権の移転登記をすることはできない(昭和40年7月13日民事甲第1857号民事局長回答)。
国税滞納者の所有する不動産を差し押さえるに当たり、当該不動産が第三者の名義になっており、さらに抵当権が設定され、所有権の抹消につき、抵当権者の承諾を得ることができない時は、「滞納処分による差押を代位原因として「真正な登記名義の回復」を原因とする所有権移転登記を嘱託することができる(登記研究質疑応答7835)。

新設合併 二以上の会社がする合併であって、合併により消滅する会社の権利義務の全部を合併により設立する会社に承継させるものをいう(会社法第2条第28号)。新設合併設立会社は、その成立の日に、新設合併消滅会社の権利義務を承継する(会社法第754条第1項、第756条第1項)。(→吸収合併

新設分割 会社分割の態様のひとつで、一又は二以上の株式会社又は合同会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を分割により設立する会社に承継させるもの(会社法第2条第30号)。新設分割設立会社は、その成立の日に、新設分割計画の定めに従い、(新設)分割会社の権利義務を承継する(会社法第764条第1項、第766条第1項)。(→簡易分割)(→吸収分割

親族 血縁関係又は婚姻関係を有するもの。民法上は、6親等以内の血族配偶者、3親等以内の姻族と定められている。親族は、尊属卑属直系傍系に分類することができる。

信託原簿 旧不動産登記法(明治32年2月24日法律第24号、平成17年3月7日廃止)において、信託の登記を申請する際に添付を要するとされいてた、信託に関する登記事項を記載した書面。信託原簿は登記簿の一部とみなされ、その記載は、登記とみなされた。新不動産登記法(平成16年6月18日法律第123号、平成17年3月7日施行)においては、「信託目録」に名称が変更された。

信託受益権 信託の受益者が有する権利で、信託財産の運用から生じる利益や信託終了時の元本の引渡しを受け、また、信託財産を管理・運用している者(受託者)に対し、一定の行為を求めることができる権利(信託法(平成18年12月15日法律第108号)第2条第7項)。信託受益権は、譲渡したり、質権を設定することができる(信託法93条、96条)。

信託受益権販売業 従来、信託業法(平成16年12月3日法律第154号)に規定されていた信託受益権の販売又はその代理若しくは媒介を行う営業で、金融商品取引業に統合された(金融商品取引法(昭和23年4月13日法律第25号)第2条第1項第14号、第2項第1号、第8項参照)。金融商品取引業は、原則、内閣総理大臣の登録を受けた者でなければ行うことができない(金融商品取引法第29条)。

信託目録 信託の登記をする際に、委託者・受託者・受益者の住所・氏名(名称)、信託の目的、信託財産の管理方法、信託の終了の事由等、信託に関する登記事項を記録した登記官の作成する目録で、旧不動産登記法(明治32年2月24日法律第24号、平成17年3月7日廃止)においては、「信託原簿」とよばれていたもの(不動産登記法第97条、不動産登記規則第176条第1項)。信託の登記を書面により申請するときは、申請人は、所定の様式に信託目録に記録すべき情報を記載したものを提出しなければならない(不動産登記規則第176条2項、別記第5号様式)。

新築建物課税標準価格認定基準表 建物の所有権の登記を申請するにあたり、当該申請の時点で、登録免許税の課税標準となるべき固定資産課税台帳に記載された価格がない場合に、登記官が課税標準を認定するため、建物の種類や構造ごとに1平方メートルあたりの単価を定めた表。3年に一度改定される。直近の改定は、平成24年4月1日(平成25年4月1日現在)。
登録免許税法施行令(昭和42年6月26日政令第146号)第3条参照。

人的分割 会社法施行前の概念で、会社分割のうち、会社分割に伴い、承継会社又は新設会社の株式を分割会社(会社分割により、自社の権利義務の全部又は一部を、他の会社に承継させようとする会社)の株主に直接割り当てるもの。会社法においては、承継会社又は新設会社の株式を分割会社の株主に直接割り当てることはできず、いったんは、分割会社に割当てた上で、会社分割が効力を生じる日に、全部取得条項付種類株式の取得の対価又は剰余金の配当という形で交付することができる。分割型分割ともいう。(→物的分割

親等 親族関係の近親度を数える時の単位。直系血族の親等はその間の世代数により、傍系血族の親等はその一人又はその配偶者から同一の祖先に遡り、その祖先から他の一人に下るまでの世代数により定められる。親子は1親等、兄弟姉妹は2親等、おじ・おば・おい・めいは3親等、従兄弟姉妹は4親等となる。姻族については配偶者を基準として同様に計算する。

新日本保証(株) 昭和44年7月23日設立。平成1年2月10日、大和ギャランティ(株)へ商号変更。

審判離婚 家庭裁判所の離婚調停手続きにおいて、調停が成立しない場合に、家庭裁判所の離婚を命ずる審判。実際の事例はほとんどないと言われている。(→協議離婚)(→裁判上の離婚)(→調停離婚

信用管理サービス(株) 東京都港区芝三丁目14番4号。平成14年2月1日第一勧銀信用開発(株)から会社分割により設立。平成17年11月30日、株主総会の決議により解散。平成18年5月17日清算結了

信用金庫

信用組合

信用保証 (1)当座貸越取引や、手形割引取引、その他継続的取引において生じる債務の保証。根保証
(2)中小事業者が金融機関から融資を受けるにあたり、信用保証協会によってなされる保証。

信用保証協会 信用保証協会法(昭和28年8月10日法律第196号)に基づき設立される法人。中小企業者等が銀行その他の金融機関から貸付等を受けるについてその貸付金等の債務を保証することを主たる業務とする。協会は、主務大臣の認可を受けなければ、設立することができない(信用保証協会法6条)。
「東京信用保証協会」等、ほぼ各都道府県に1つずつ存在するが、神奈川県には、「神奈川県信用保証協会」「横浜市信用保証協会」「川崎市信用保証協会」の3つが存在し、大阪府には、「大阪市信用保証協会」と「大阪府中小企業信用保証協会」が存在する等、複数の保証協会が存在する県がいくつかある。信用保証協会が一部代位弁済し、準共有となった担保権の競売代金の配当については、特約がない限り、金融機関等、原債権者が信用保証協会に優先して配当を受けることとなる。

信用保証サービス(株) 昭和49年11月29日設立。昭和63年1月20日、(株)富士銀クレジットへ商号変更。昭和63年1月20日、東京都中央区築地一丁目13番5号から、東京都中央区銀座四丁目2番11号へ本店移転。

心裡留保(しんりりゅうほ) 表意者が、真意とは異なる意思表示をすること。原則、有効であるが、相手方が、意思表示が真意ではないということを知っていた、または知ることができたときは、無効となる(民法第93条)。ただし、その無効を知らなかった第三者には、無効を主張することはできない。(→通謀虚偽表示

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15

このページのトップへ

Copyright (c) 2008 Global Legal Office All Rights Reserved